なぜ不動産の相続手続きが必要なのか
1 不動産の売却や処分ができない
不動産の相続手続き(不動産の名義変更)を行わないと、基本的にその不動産を売却したり、処分したりすることができなくなります。
不動産を売却するためには、まずは不動産の名義を、被相続人の名義から相続人の名義に変更する必要があります。
不動産を売却する予定がある場合には、注意が必要です。
また、建物があり、その建物を取り壊したい場合には、名義変更をしていないと、相続人全員の同意が必要になります。
そのため、建物が老朽化しており、将来的に倒壊の危険性があるものであっても、相続人全員の同意がない限り、取り壊すことが難しい場合が出てくるので、名義変更をしておいたほうがよいということになります。
2 相続関係が複雑になる場合がある
不動産の名義変更を早めにしておかないと、その後の相続関係が複雑になってしまう場合があります。
よくあるご相談としては、数十年前に亡くなった祖父名義の土地があり、それを処分できずに困っているというケースがあります。
このようなケースでも、亡くなられた祖父の相続人が少なければ、基本的にそれほど費用や時間はかからないでしょう。
しかし、亡くなられた祖父の相続人が複数人いる場合や、相続人間で紛争になっている場合、そもそも相続人が何人いるか不明な場合などには、不動産の名義変更をするのに数百万円以上の費用や2~3年以上の期間がかかる場合もあります。
また、相続人と疎遠な場合や行方不明の相続人がいる場合や、相続人の一人が認知症になっている場合も同様に、費用や時間がかかる場合があります。
中には、相続の手続き中に相続人が亡くなってしまうケースもあります。
そうなってくると、さらに相続人が増える場合もあり、ますます複雑になってしまうこともあります。
そのため、基本的には、不動産の名義変更はすぐにした方が良いでしょう。
3 10万円以下の過料に処せられる場合がある
改正法により、令和6年4月1日以降は、不動産の名義変更を行わずにそのままにしておくと、10万円以下の過料に処せられる場合があります。
参考リンク:法務省・所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)
そのため、相続で不動産を取得した場合は、不動産の名義変更は必須となります。
不動産の相続手続きについてお悩みの方は、専門家へご相談ください。