相続した建物が未登記の場合はどうするか
1 表題登記と所有権保存登記を行う
未登記建物については、そのままにせず表題登記と所有権保存登記の申請という手続きを行っておいた方がよいでしょう。
そもそも、相続した未登記建物をそのままにしておくと、以下のように様々なデメリットがあります。
・10万円以下の過料を課せられる場合がある
・登記された建物に比べて、固定資産税を多く支払わなければならなくなる場合がある
・過去遡って、市区町村から固定資産税等を請求される場合がある
・未登記建物自体の売却が困難になる場合がある
・未登記建物が建っている土地の売却が困難になる場合がある
・他人が勝手に所有権を主張してきた場合、所有が認められない可能性がある(他人に所有権を主張できない場合がある)
2 表題登記と所有権保存登記の申請とは
そもそも、表題登記の申請とは、登記されていない建物(未登記の建物)について、その構造や床面積等を登記簿に登録するために法務局に申請することをいいます。
また、所有権保存登記の申請とは、表題登記がされた建物等について、所有者が誰であるかを登記簿に登録することを法務局に申請することをいいます。
これらの手続きについて、専門家に依頼する場合、表題登記は土地家屋調査士が、所有権保存登記は司法書士や弁護士が行います。
費用については、専門家によって異なりますので、事前にご確認されることをおすすめします。
3 表題登記をしない場合は市役所に届け出る
万が一、未登記の建物について、表題登記や所有権保存登記をしない場合は、当該未登記建物がある市区町村役場に、未登記建物を相続したことの届出を出す必要があります。
届出を出さなかった場合、市区町村としては、誰が相続したか分からないため、亡くなった方名義か、相続人全員の名義にて当該未登記建物の固定資産税の通知を送る可能性があります。
そうなってしまうと、相続した相続人としては、固定資産税等の納税の手間が増えるため、未登記建物を相続した場合で表題登記や所有権保存登記もしない場合は、市区町村に相続した旨の届出だけでも出しておいた方が良いでしょう。
届出の書式等は、市区町村ごとによって変わっており、豊田市内に、未登記の建物がある場合は、「未登記家屋補充課税台帳所有者変更申出書」という書類に必要事項を記載して、市役所に提出します。
なお、詳しい内容や書き方については、以下の豊田市のホームページより「未登記家屋の納税義務者を変更する場合」をご確認ください。
参考リンク:豊田市・各種申請様式
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