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死亡退職金と遺産について

  • 文責:所長 弁護士 武田彰弘
  • 最終更新日:2024年3月21日

1 死亡退職金は原則遺産とはならない

死亡退職金とは、労働者が在職中に亡くなった場合に支払われるお金のことをいいます。

被相続人が死亡退職したことによって支給される死亡退職金は、遺族の生活保障を目的としていると考えられているため、原則、受取人(受給権者)固有の権利として考えられています。

そのため、死亡退職金に関する支給規程がある場合には、死亡退職金の受取人固有の権利とみて、死亡退職金は遺産ではないと認められる可能性が高いです。

一方で、支給基準がない場合であっても、死亡退職金の従来の支給慣行や支給の経緯等を勘案して、個別的に遺産であるかを検討し、遺産ではないと認められる場合があります。

なお、被相続人が退職した後に亡くなった場合の退職金については、死亡退職金ではないため、原則通り、遺産に当たります。

2 死亡退職金が遺産ではないと考えられた事例

こちらでは、死亡退職金が遺産に含まれないと考えられる事例についてご紹介します。

それぞれ、死亡退職金の支給目的が亡くなった方の遺族の生活保障を目的とするものであることや、民法の相続とは別の立場で死亡退職金を受け取る人(受給権者)を定めたこと、死亡退職金が受給権者個人に支払われたことなどを理由として挙げています。

⑴ 国家公務員の死亡退職手当

国家公務員が亡くなった場合の死亡退職手当については、受取人(受給権者)固有の権利であって、遺産ではないと考えられます。

⑵ 地方公務員である県学校職員の死亡退職手当

地方公務員である県学校職員が亡くなった場合の死亡退職手当についても、遺産ではないと考えられています(最高裁昭和58年10月14日)。

⑶ 私立学校の職員の死亡退職手当

私立学校の職員が亡くなった場合の死亡退職手当も、遺産ではないと考えられています(最高裁昭和60年1月31日)。

⑷ 特殊法人の職員の死亡退職金

特殊法人の職員の死亡退職金手当も、遺産の対象ではないと考えられています(最高裁昭和55年11月27日)。

なお、特殊法人とは、法律により設立された法人のことを指します。

民間企業にはできない事業を行うことを目的に設立されることが通常で、公団や公社、金庫などがこれにあたります。

このような特殊法人の職員の死亡退職金も、遺産に当たらないと考えられています(最高裁昭和55年11月27日)。

⑸ 受給権者が規定されていない場合(財団法人の理事が亡くなった場合)

死亡退職金支給規程の定めのない財団法人が、死亡した理事長の配偶者に対し、死亡退職金の支給決定をしたうえで、これを支払った場合、当該死亡退職金は遺産に当たらないと考えられています(昭和62年3月3日)。

3 例外的に遺産分割の際に考慮される場合もある

このように、死亡退職金は、原則、遺産には含まれません。

しかし、支給規程の有無、支給基準の規定の趣旨や、今までの慣行等を考慮すると、死亡退職金が遺産に当たる場合もあります。

また、死亡退職金の額が、遺産に比して、極めて多額であるなどの特殊な場合は、例外的に死亡退職金が遺産分割の際に考慮されることもあります。

そのため、死亡退職金が遺産に当たるかを判断するためには、実際に支給規程の有無や内容等を、亡くなった方が働いていた会社や法人、国等に確認しておく必要があります。

なお、死亡退職金が遺産に当たらない場合には、相続放棄をした方であっても、死亡退職金を受け取れます。

4 死亡退職金は相続税の対象となる

相続税の計算の際は、たとえ遺産の対象にならない死亡退職金であっても、課税の対象となる場合があります。

ただし、課税の対象となる場合であっても、全額が課税の対象となるわけではなく、相続人の数に応じて控除されます。

例えば、相続人が3人の場合、退職金が1500万円以下の場合は課税対象とならなくなります。

5 死亡退職金のことは専門家にご相談を

以上のように、死亡退職金が遺産にあたるかどうかは、非常に専門的な知識が要求されます。

そのため、死亡退職金が遺産にあたるか判断がつかない方は、一度、相続に詳しい専門家にご相談されることをおすすめします。

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