遺贈と死因贈与の違いやメリットはなんですか?
1 遺贈と死因贈与の違い
そもそも遺贈とは、遺言による贈与のことをいいます。
遺贈には、包括遺贈(遺産全てや遺産の何割を遺贈するといった内容)や特定遺贈(特定の財産を遺贈するといった内容)といった種類があります。
他方、死因贈与とは、贈与をする人(贈与者)が死亡した時に初めて効力が生じる贈与契約のことをいいます。
これらの遺贈と死因贈与の大きな違いとしては、遺贈は、贈与者一人が遺言書を作成すればよいのに対し、死因贈与は、贈与をする人(贈与者)と贈与を受け取る人(受贈者)の契約が必要となります。
そのため、死因贈与は、受贈者が贈与を受けることを承諾しないと、そもそも契約することはできません。
2 遺贈のメリット・デメリット
⑴ メリット
遺贈のメリットとしては、不動産取得税や登録免許税が死因贈与に比べ安くなるところです。
たとえば、相続人に対する不動産の遺贈の場合、不動産取得税は0円であり、登録免許税も、不動産の価額の0.4%に抑えることが可能です。
他方、死因贈与の場合、不動産取得税が課税され、また、登録免許税も2%と高めに設定されています。
また、遺贈のメリットとして、遺言書の書き直しによって、遺贈の内容を変更できるため、生活状況や相続人との付き合いの変化によって、柔軟に遺贈の内容を変えることができます。
⑵ デメリット
遺贈のデメリットとして、遺言で行うため、作成方法が適切でないと、遺言が無効になり、遺贈自体も無効になる場合があります。
たとえば、手書きの遺言書(自筆証書遺言)の場合、遺産目録以外の全文を手書きする必要があり、一部、パソコン打ちされたものだと、無効になる場合があります。
また、遺贈を受け取る方(受遺者)からすると、いつでも遺贈の内容を変えられる可能性があるため、遺贈を確実に受け取ることができるか分からず、不安定な立場に置かれることになります。
3 死因贈与のメリット・デメリット
⑴ メリット
死因贈与のメリットは、遺言とは違い、口約束でも成立します。
また、無効な遺言書であっても、その遺言書を相続人に渡していた場合、死因贈与として認められる場合もあります。
さらに、死因贈与の場合、内容を撤回するには、贈与を受け取る人(受遺者)への意思表示が必要となるため、遺贈と異なり、知らないうちに勝手に変えられるという心配はありません。
⑵ デメリット
死因贈与のデメリットとして、遺贈のメリットでも書いた通り、不動産を死因贈与の対象とする場合、不動産取得税や登録免許税が遺贈に比べて高くなることです。